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藝大・公開講座「チェン・シー特集」

東京藝術大学 大学院 映像研究科 公開講座「コンテンポラリーアニメーション入門」2015.10.17

第21回講座『最新中国独立系動画2:チェン・シー特集』
(講師:チェン・シー、進行:山村浩二)

現代中国を代表するアニメーション作家チェン・シー氏の作品上映と解説。
チェン・シー氏とアン・シュー氏の共同制作作品『冬至』は、佐藤が国際選考委員を務めた 2010年の広島国際アニメーションフェスティバルで国際審査委員特別賞を受賞。中国アニメーションの新時代を象徴する作品として非常に印象に残りました。そして、先々月(2015年9月)韓国・ソウルで開催されたインディ・アニフェストでは、ともにリレーアニメーション制作に参加。そのパーティーの席で「中国の伝統美術の素晴らしさ」について意気投合したのも記憶に新しいところです。

上映作品:
2008『冬至』… 清朝末期、男性医師が昔の恋人と。
2009『芒種』… コオロギ少年と女教師。マッチ箱。
2011『霜降』… Grain Coupon を偽造する老夫婦。
2013『穀雨』… 赤黒い部屋で麻雀。本性が獣の影に。
2014『処暑』… 若い女性と老母。口紅を塗る幼女。
2015『大寒』… 雪山で鳥を射る狩人。1200年頃の詩。

以下、印象に残った言葉:


◎影響を受けたもの。興味のあるもの。共同監督の役割分担について
・イーゴリ・コヴァリョフの「ミルク」には、キャラクタデザインや横パン・横移動、タイミング(緊迫感を伴いながら、突然速く動く)などで影響を受けた。
・共同監督のアン・シュー氏は、同じTVアニメ会社の同僚だった(現在は長期療養中)。
・2人の監督とも、興味の方向が同じ。2人とも、今という時代が好きではない(だから、昔の中国を舞台にしている)。
・チェン・シー氏は、人物のデザインに興味がある。
・アン・シュー氏は、小道具や背景に興味がある。
 役割を逆にしてみたこともあるが上手く行かず。監督作業は2人で行う。
・初めて2人で作ったのが『冬至』。内容そのものをズバリと表現するのは避けた。

◎制作スタイルについて
・制作ツールは Adobe Flash。レイヤー数は数十におよぶ。素材には JPEG と PNG を使用。
(佐藤註:最近の作品は、後処理で効果を付けるために After Effects も併用しているように思われるが、Flash でここまで表現できるとは、正直驚いた!)
・まず、シナリオを作る。そこからのビジュアライズが大変。キャラクタデザイン後に、ストーリーに手を加えることもある。ストーリーボードは作らない(人物がどちらに動くか、程度は記入するが…)。
・タイミングは、『穀雨』以外は、チェン・シー氏がつけている。
・『冬至』の雪の逆再生とか、2人で議論したものしか画面上に残っていない。
・『霜降』は制作に2年かかった。しかし、若気の至りか、怒りをストレートに出し過ぎたように思う。

◎共同監督の難しさ
・東京にいるチェン・シー氏と、北京にいるアン・シュー氏。Skype で喧嘩したこともある(Skype 画面でにらみ合ったままとか…)。その後、お互いに妥協しないようになった。
・最終的には、
  どちらか1人が決める
  もう1人が全力で支える
 というスタイルに落ち着いた。(佐藤註:これは「発明」だと思う!)
 もちろん、その過程で打合せは行う。

◎最近の作品について
・『処暑』と『大寒』は、不確実性を増やしたくて模索している。
 アニメーションが完成してから、改めてカメラで撮影するとか。
・数年前から、古い中国画に感動を覚える。
・自分が感じた思いをアニメーションで表現する。単に絵を動かすだけでは表現できない。世界を探せば、この思いを表現できる方法はあるはずだ。
・見る側がどう考えるかよりも、自分たちが表現したいものを表現するようになった。

◎Q&Aより
・『処暑』はストーリーを気にしていなかった。あまりにストーリーを語りすぎてしまうと、感覚を薄めてしまう。映画的な語りではない。
・幼い頃に読んだ詩を今、読み直してみると別の感動がある。
・『大寒』では、詩はどうやって生まれてくるのかを映像化した。詩も絵も一瞬で惹きつける。それは作者と受け手がつながった瞬間。
・タイトルについて。中国では、暗示させることを好む。一方、英語タイトルは内容をダイレクトに表している(その方が英語圏では好まれるだろうとの考えから)。
・『処暑』は、音楽監督のアイデアで2回目を反転した。思いの外、良かったので採用した。
・不確定や偶然を好む。フィルムの傷、ノスタルジックな思いが表れる。
・『処暑』は液晶画面を撮影したためモアレが出ているが、それは狙った効果である。
・アン・シー氏と打ち合わせをする時に、ケータイのカメラで撮影していたが、その手ぶれが良かった。画質が悪くなると生き生きしてくる。

※上記の発言内容は、一部、主旨を変えない範囲で“意訳”してあります。誤りがあれば、ご指摘下さい。

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