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内装デザインに挑戦!

自分が住んでいるマンションの共用棟(2001年竣工)の内装のリフォームをすることになったのですが、偶然にも改修工事をする今年、私が管理組合の修繕担当理事になっていた関係で、内装(床、壁、天井の貼り替え等)のデザインを担当させて頂くことになりました。

普段、映像制作の仕事では、3次元CGのテクスチャを決めたり、色彩構成を考えたりしているので、それがリアルの建築物になっただけ(?)と考え、いつものように脳内でレンダリングを繰り返し、イメージを固めていきました。但し、CGのように「アンドゥー」はできないので、慎重に作業を進めました。

公共性の高い、共用の施設なので、利用者が戸惑わないようにこれまでとの連続性を意識しつつ、せっかくリニューアルするので「新しさ」のイメージも提示したいと考えていました。もちろん実用性(例えば、白っぽいタイルカーペットは汚れやすいので避ける)も厳しく問われます。

竣工当時に使われていた壁紙(クロス)はすべて、この16年間で入手できなくなってしまったので、新しいものを選ぶ必要がありました。クロスにしても、タイルカーペットにしても、リフォーム会社から「実物の見本(帳)」が提供されたので助かりました。実際に現地の照明環境下にそれら「見本」を置いてみると「本当の色」が分かるので、机上の設計があっさり否定され、(床・壁・天井はコーディネートが大切なので)最初から全部、組み立て直す=選定し直すことになったのも今では良い思い出です。

一見、「白」に見える素材でも、暖色系の「白」もあれば、寒色系の「白」もあります。さらに、光源の色温度によっても色味が変わってきますから、現地でデザイン作業をすることの重要性を身に染みて理解することができました。但し、この段階に至ることができたのも、CGや色彩の勉強をしてきたからだと思います。まさかこんな所で役に立つとは…(笑)。

余談ですが、そう言えば私は「卒業後1年間の実務経験で二級建築士の受験資格が得られる」という主専攻(生物環境造成学)を卒業していたことを久しぶりに思い出しました。建築や土木や測量や製図の授業も受講しましたが、結局、生物学(植物生理学)で卒論を書きましたし、卒業後は電子・情報系(ゲーム会社)に進んでしまったので、建築とは無縁の生活を送ってきました。でも、結構、こういう分野が自分の興味にも近かったのかもしれない、と30年前の学生生活を思い出している次第です。

さて、リフォーム後(施工後)の写真を何点か、紹介させて頂きます(写真をクリックすると拡大)。
1階集会室
1階集会室。床のタイルカーペットと壁のクロスを貼り替え。
子どもたちが遊んだり、大人たちの各種ミーティングに使われるスペース。基本はカジュアルだけれども、真面目な打合せにも使われることを意識しました。発想が豊かになったり、元気が出そうな色彩で、汚れにも強いというバランスを考慮した結果です。
従来との連続性を維持するため、床の縞模様の幅は竣工時のまま変えていませんが、色は新規に選び直しています。

2階集会室
2階集会室。壁のクロスを貼り替え(上の写真は窓側のみですが、部屋全体の壁を貼り替えています)。床の改修は予算の都合上、今回は見送り。
壁のクロスがボロボロになって、みすぼらしくなっていたのですが、壁のクロスを貼り替えるだけで、部屋全体が明るくなりました。
ちなみに壁のクロスは、1階集会室と同じものです。

1階トイレ
1階トイレ。床材と壁のクロスと天井のクロスを貼り替え。便器も新品に買い替え。
テーマは、清潔感と暖かさ。壁は、控え目だけれどエレガントなテクスチャの白いクロス(暖色系の白)。床は消臭エスリューム(機能性素材)。天井は、掃除しにくいので、汚れが目立たないクロスにしてみました。

2階トイレ
2階トイレ(の洗面台付近)。床材と壁のクロスと天井のクロスを貼り替え(1階トイレと同じものを採用)。
この写真では壁が黄色っぽくなっていますが、肉眼で見ると純白に近いです。

この他にも、共用廊下のタイルカーペットを選定しましたが、1階集会室の灰色と同じものを使ってみました。土足エリアなので汚れが目立たないようにしたかったことと、発色が絶妙で、適度なリニューアル感が得られるからです。こちらは1階集会室と異なり、日光が照射される空間なので、経年変化による違いがどの程度現れるかを確認したかった(比較したかった)という隠れた目的もあります。今後十数年間は、今回の「佐藤デザイン」のまま使われるのでしょうが、次回の改修工事のときに、この比較実験の結果を参考にできると思います(気の長い話ですが…)。

今回、このような貴重な機会を頂いて気付いたことですが、「内装デザインは空間全体をつくることができる」という当たり前のことを、おそらく生まれて初めて身体的な実感を伴って再確認することができました。映像作品はどんなに派手な世界が描かれていたとしても、あくまでも長方形のフレームの中で完結しています。でも、建築や内装デザインは、身体を取り巻く360度すべてを思い通りに設計できるのですね。1階トイレの扉を閉めたとき、「おおっ、自分が設計した空間に包み込まれている!」とクラクラしました。清潔で、ほんのり暖かい、設計通りの空間の圧倒的なリアリティ。最新のVRコンテンツでもまだ追いつけない、究極のリアルの世界。
狙っていたとはいえ、トイレなのに居心地の良さが感じられて、「これは、やばい。クセになるかも…(笑)」と思いました。

最後に、実際に施工作業をして下さった職人さんと関係者の皆様、ありがとうございました!

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